2019.02.01

メディア展望

『メディア展望』2月号発行のお知らせ

編集長の一言二言

寒気ことのほか厳しい折、いかがお過ごしでしょうか。お届けします2月号の巻頭は「平成時代を振り返って(経済)」。平成時代の日本経済についてよく書けており、興味深い内容になっています。執筆者の石井正氏は時事の経済部出身、日銀や財研が長く、ニューヨークでも経済を担当。小職とはNYで机を並べた間柄です。現在は中央大学や早稲田大学で講師をしており、学生たちに語っていたことを基に執筆してもらいました。

▽2番手の論考は「比ミンダナオの和平をめぐる諸問題」で、執筆者は国際協力機構(JICA)シニアアドバイザーの谷口美代子氏。石井氏と同様、時事出身。神戸総局で一緒だった編集主任の奥林さんのアドバイスを受けて執筆をお願いしました。ミンダナオのモロ・イスラム解放戦線の話は聞いてはいましたが、その現状をこうして具体的に書いていただくと内実がよく分かります。

連載物の高井潔司氏の「大正デモクラシー中国論の命運」。豊かとはいえない主人公の清水安三がなぜ米国に留学できたのかは興味深いエピソードです。倉敷紡績を中心に大原財閥を築き上げた大原孫三郎の支援があったからだというのです。このエピソードは、作家、城山三郎が大原孫三郎伝で明らかにしている由。貧しかった清水が米国留学というのも変だなと思っていたので、納得しましたし、いい話だと受け止めました。

昨年11月に開いたシンポジウムの際、日本のメディアがあまり取り上げないニュースの例として、英国で起きたロシア人二重スパイ殺人未遂事件が挙げられていましたが、今月号にロシア問題専門家の中澤孝之氏が取り上げてくださいました。同氏は、リトビネンコ殺害事件以降、この種の事件を追っており、これだけ詳しくカバーしている例は他にないのではないかと思います。そのシンポジウム(「米中激突、揺れる国際秩序~問われるメディアの分析力・洞察力」)の内容をまとめた本が今月刊行されます。ご興味あれば弊会事務局まで。

(倉沢章夫(としお)

 

メディア展望印刷版の最終ページにある「経済アナリストが講演」の項、「午後1時半から同2時半まで」とあるのは「午後2時から同3時まで」の誤りです。

この相馬尚文氏の講演会は2月27日(水)午後2時から午後3時まで、あと30分の質疑応答があります。開始時間にお気をつけください。