2019.03.01

メディア展望

『メディア展望』3月号発行のお知らせ

編集長の一言二言

早春の候、いかがお過ごしでしょうか。3月号をお届けします。トップ原稿は「平成時代を振り返って(外交)」で、共同通信特別論説委員の杉田弘毅氏に書いていただきました。紙幅に限りがあるため、外交全般を語ることは難しく、「日本外交の軸であり、また最大の悩みでもある日米関係に焦点を当てた」(杉田氏)原稿となっています。

▽書評は、保阪正康氏著『昭和の怪物 七つの謎』を取り上げ、元東京経済大学のメディア研究家、有山輝雄先生に書いていただきました。先生が書かれているようにこの書は大変「面白く読める本」です。この中に、戦時中海軍と陸軍が戦略、戦術といった面で全くコミュニケーションがなかったという箇所がありますが、これはちょうど国分俊英氏が今月号の『日記で読む昭和史』で指摘しているところです。また小職がこの本を読んでいて興味深かった一つは、大日本帝国の軍人は文学書を読まないだけでなく、一般の政治書、良識的な啓蒙書も読まない、という点です。「軟派なことに関心を持ったら、軍人なんか務まらないよ」(東条英機側近の赤松貞雄秘書官)というのですから、柔軟な思考の持ち主など出てくるわけがありません。硬直的で視野の狭い陸軍軍人のこのような姿勢が戦争を引き起こした一因と思いました。(倉沢章夫(としお)