2023.09.01

メディア展望

『メディア展望』9月号発行のお知らせ

編集長の一言二言(9月号)

■最高気温37度超えが当たり前の夏となりまし た。気象庁の長期予報では 9 月以降も猛暑が続 くようです。世界的に見ても今年 7 月が史上最 も暑い月になることは確実で、国連のグテーレス事務総長は地球温暖化ではなく「地球は『沸騰化の時代』に入った」と強調しています。2万6000年の気候サイクルでは、地球は「氷期」に向かっているはずですが、化石燃料の使用など人間の営みが、地球の許容範囲を超えたため、気候サイクルを狂わせてしまったと指摘する科  学者も多くいます。いずれにしても気候変動は「人類の存続にかかわる脅威」と言っても過言ではないようです。

■今月号のトップには、共同通信編集委員の久江雅彦氏の講演録「後継不在、断末魔の政治」を置きました。久江氏は、テレビ番組にも多数出演していて、鋭い切り口で永田町の現状を解説しています。岸田内閣の支持率は急降下の一途で、政策面では「マイナ保険証」のトラブルに加え、防衛費増額の財源問題も控えています。エッフェル塔写真でみそをつけた自民党の松川るい参院議員の不祥事なども重なり、支持率好転のきっかけすらつかめない状況です。政局の焦点は 9 月の内閣改造・党役員人事、そして解散総選挙の時期に移ります。

■津山恵子氏の海外情報は、人間が生み出した技術が人間の存在を危うくするという現実を浮き彫りにしていて、非常に興味深い内容です。 ChatGPT を使った論文作成の是非が社会問題となっていますが、今や人工知能(AI)でコピーされた俳優が、本人の知らない間に映画に登場し、ギャラも支払われない「利益追求主義」がまん延している実態に驚かされました。

■上智大学の音好宏教授の放送時評では、厳しい経営環境にあるコミュニティーFMの現状を伝えていただきました。東日本大震災では、ライフラインが寸断され、日常生活が大混乱に陥る中で、安否情報など、被災者の方々が一番頼りにしていたのはラジオの情報だったことはご承知の通りだと思います。それだけに、コミュニティーFMを含め、ラジオ局には厳しい財政事情を乗り切って頑張ってほしいとの思いが募りました。(一ノ瀬英喜)