2024.02.01

メディア展望

『メディア展望』2月号発行のお知らせ

 編集長の一言二言(2月号)

■自民党の政治資金パーティーを巡る問題は、安倍派、岸田派、二階派が解散を宣言する異例の事態となりました。党の政治刷新本部は派閥から「カネと人事」の機能を排除しながらも、政策集団としての存続は容認する案をまとめました。今回の問題は、政治家が多額の裏金作りに励んでいた実態を浮き彫りにし、議員によっては数千万円に上る使途不明の裏金について、国民が「脱税ではないか」と怒りの声を上げるのも無理はありません。それにしても政治改革を叫ぶ岸田文雄首相の言動に真剣味や危機感を感じないのは私だけでしょうか。刷新案を見ても派閥と政策集団のどこが違うのかさっぱり分かりません。実効性のない改革に終われば、国民の政治離れ、政治不信は極限に達しかねません。

■イスラム組織ハマスとイスラエルによる戦闘が発生から間もなく4カ月になります。今月号のトップページには、事態打開の糸口が見いだせない現状、ハマスとイスラエル双方の思惑や歴史的背景を解説していただいた時事通信の渡辺健作外信部デスクの講演録を掲載しました。

■今月号から新聞通信調査会の河原仁志事務局長が取材・執筆した「新聞人」を再開しました。今回は東日本大震災直後に発生した福島第一原子力発電所の「炉心溶融」を巡る朝日新聞の報道の舞台裏を検証しています。当初、東京電力が認めなかった炉心溶融をどう報じるか。そこに至る経緯を時系列で詳しく描写しています。

■昨年末に『週刊文春』が、芸能界の大御所ダウンタウンの松本人志さんの性加害疑惑を報じました。これを受けて、松本さんは休業を宣言し、発行元である文藝春秋に対し、名誉毀損による損害賠償と謝罪広告の掲載を求めて提訴しました。数多くのレギュラー番組を持つ人気タレントだけに、民放テレビ各局は、故ジャニー喜多川氏による性加害問題に続く疑惑が表面化したことに頭を抱えています。日本の芸能界やテレビ局の番組制作を巡って、なぜこうした問題が相次いで起きるのか。上智大学の音好宏氏の「放送時評」では、その背景や問題点を分かりやすく解説しています。 (一ノ瀬英喜)