2022.12.01

メディア展望

『メディア展望』12月号発行のお知らせ

編集長の一言二言(12月号)

■アジア諸国の中で新型コロナの新規感染者数がなお上昇傾向にあるのは日本、韓国、台湾、香港などに限られます。ゼロコロナ政策で外出を禁じる中国も上昇傾向にあるようですが、具体的データはほとんど明らかにされていません。東南アジア諸国や南アジア諸国はほぼ収束しつつあり、残っているのは日本を筆頭とした東アジアの国・地域だけです。この理由は分かりませんが、一刻も早い収束を願うばかりです。

■12月号の高村薫氏の講演録に読み入ったのは「専門家でない物書き」とご自身の立ち位置をはっきり示しつつ、その鋭い分析に感服したからでした。中でも北大西洋条約機構(NATO)の一員でもないのにウクライナ全面支援の立場を表明した日本への違和感は共有します。確かにウクライナ侵攻はロシアのとんでもない行動ですが、核使用を考えるまで追い込むべきではなく、その可能性が高まった際には、被爆国・日本が停戦交渉の仲介役などを担う余地は残しておくべきでしょう。

■これは、1945年8月に日本がポツダム宣言を受け入れるに至った直前の経過を追うことでも分かります。すでに各戦線で完敗していた日本があと2週間早く降伏していれば、米国による原爆投下という核使用はありませんでした。日本の決断の遅れは、降伏の仲介国としてソ連に期待をしていたゆえで、誤りにようやく気づいたのは8月8日のソ連の対日宣戦布告。その後の日本は国体護持(天皇制維持)の保障を何とか取り付けようとしただけでした。現在のロシアがいかに非道であったとしても「出口」を用意して示すべきでしょう。

■当会事務局長・河原仁志の「新聞人の決断」はおかげさまで好評です。今号は西日本新聞社内の飯塚事件検証企画をめぐる生々しいやり取りを再現、迫力がありました。当時の中島邦之編集委員や傍示(かたみ)文明編集局長の立ち振る舞いは「さすが」としか言いようがありません。

■ページ数の関係で1回休載となった北井邦亮氏の連載「日米ガイドラインからたどる同盟と自主」は1月号から再開します。北井氏にはお詫びします。個人的には非常に興味深いテーマゆえ緻密な論考を読みながら勉強させていただいています。1月号は前身の「新聞通信調査会報」時代を含め当誌の創刊60周年記念号となるため、この60年を振り返る企画も準備中です。(石山永一郎)