2025.07.01
メディア展望
『メディア展望』7月号発行のお知らせ
編集長の一言二言(7月号)
■今年は戦後80年、昭和100年の節目の年です。今月のトップページには御厨貴東大名誉教授が「戦後80年の政治を考える~過去、現在、未来~」と題して行った特別講演会の概要を掲載しました。藩閥政治から政党政治の誕生、そして「1955年体制」の発足から現在に至る政治の〝裏面史〟を分かりやすく解説しています。自民党内で「派閥」がどのように生まれ、その役割がどう変質したのか、興味深い内容も多く、示唆に富んでいます。政治とカネの問題などで日本の政治は危機的状況にあると言われていますが、戦後80年、政治的運動は政党から始まったのは疑いありません。政治や政党にそっぽを向くのではなく、議会制民主主義の大切さを再認識し、選挙で一票を投じる必要性も指摘しています。
■トランプ関税の発動で、全世界が困惑する中で、世界経済に大きな影響を及ぼす「米中貿易戦争」の行方が注目されています。共同通信外信部の大熊雄一郎氏の定例講演では、米中開戦に至る経緯や時代背景と、貿易戦争の中身や現状を詳しく検証しています。とりわけ米国のトランプ大統領と中国の習近平国家主席の本音と建前がどこにあるのか、そして日本は米中両国にどのように向き合っていけばいいのか、分かりやすく解説していただきました。
■SNS の広がりで新聞、テレビなど既存メディアは激震に見舞われ、今や経営の危機にさらされています。「デジタル革命第2 弾」と言われる生成AIの登場は、さらに追い打ちをかけています。元日経新聞の坪田知己氏に、生成AIの誕生がメディアに及ぼす影響や問題点などを解説していただきました。インターネットの普及は情報の流通を格段に向上させ、情報を無料で入手できることから、情報におカネを払うという常識が吹き飛んで新聞を衰退させました。生成AIを巡っては利便性の一方で、問題点も指摘されています。AI時代にメディアがどうあるべきか考えさせられる論考となっています。(一ノ瀬英喜)