2025.06.01

メディア展望

『メディア展望』6月号発行のお知らせ

編集長の一言二言(6月号)

■今月のトップページには「トランプ関税と日本経済」をテーマにした時事通信の川村豊経済部長の講演録を掲載しました。世界中を混乱させているトランプ関税の狙いや日本経済に与える影響、とりわけ基幹産業の自動車業界を軸に今後の日米協議の見通しについて、分かりやすく解説していただきました。

■「トランプ2.0」を読み解くキーワードは「復讐」と「忠誠心」でしたが、同盟国をも狙い撃ちにした関税に続く次なる標的はメディアのようです。キーワードは「恫喝」と「訴訟」で、意にそぐわないメディアを「反米的」「偏向している」と恫喝し、訴訟をちらつかせて圧力を掛けています。メディアへの抑圧は「言論、報道の自由」をうたった合衆国憲法に違反していることは明白です。津山恵子氏の海外情報(米国)は、政権による圧力にさらされている米国メディアの現状を伝えています。その一方で「経営」か「報道」かを巡って苦悶するメディアの内実も浮き彫りにし、興味深い内容となっています。

■西茹氏の海外情報(中国)は、米中対立が激しさを増す中で、意外にも米国民の対中感情に改善の兆しがある世論調査結果が出ていることを報告しています。改善に寄与しているのは中国系の動画投稿アプリで、デジタル時代ならではの米中民間交流が背景にあるようです。政治、経済レベルでは角を突き合わせている両国ですが、アプリを通じて若者同士が情報交換している具体例を挙げています。 (一ノ瀬英喜)