2025.12.01
メディア展望
『メディア展望』12月号発行のお知らせ
編集長の一言二言(12月号)
■今月号のトップページには産経新聞ソウル駐在客員論説委員の黒田勝弘氏の特別講演会の概要を掲載しました。40年以上韓国で暮らす黒田氏は、折に触れて韓国に〝箴言〟してきました。今年は日韓国交正常化から60年ですが、山あり谷ありの日韓関係を見詰めてきた黒田氏ならではの話が盛りだくさんです。ぜひご一読ください。
■毎年行っているメディアに関する世論調査結果がまとまりました。新聞の購読率は前回よりも3.7㌽下がって50.1%で何とか過半数を維持しましたが、2008年度の調査開始時の88.6%に比べると38.5㌽も減少しており長期低落傾向に歯止めがかからない状況です。近年、SNS が選挙に与える影響に注目が集まっていますが、今年の参院選で参考にした媒体は、若年層ではインターネット、SNS が上位を占めています。
その一方で、選挙情報の信頼度では、NHK、新聞が他の媒体を上回っています。日頃ネットから情報を得ていても、そこには、フェイクニュースや虚偽情報があることをある程度認識していることをうかがわせる内容となっています。
■今月号には、メディア激動研究所が「映像メディアの近未来を探る」をテーマに開催したセミナーの概要を掲載しました。テレビなどが生き残るためにネットで新たなビジネスモデルを構築できるか、活発な議論が展開されました。一方、津山恵子氏の海外情報(米国)では、クロスワードやゲームなど読者の好むコンテンツを抱き合わせて読者を増やすなど、経営の多角化で大幅な収益増を実現したニューヨーク・タ
イムズの戦略を報告していただきました。最近、AI企業などが過去記事を無断で使用、訴訟になるケースが増えていますが、既存メディアが記事などを提供する際に、きちんとライセンス契約を結んでAI企業に「ただ乗り」させない取り組みは必要不可欠です。既存メディアの経営基盤の強化にとって重要な視点だと思います。 (一ノ瀬英喜)

