2025.10.01
メディア展望
『メディア展望』10月号発行のお知らせ
編集長の一言二言(10月号)
■今月号のトップページには共同通信政治部の手柴大輔担当部長の講演録を掲載しました。与党の過半数割れと新興政党が躍進した7月の参院選の総括と、揺らぐ日本の政党政治の行方についても展望してもらいました。講演後に石破茂自民党総裁が参院選大敗の責任を取って辞意を表明。総裁選が10月4日に行われることが決まったため、政局の動きを加筆していただきました。石破氏の辞任に至る経緯を見て感じるのは、政治家にとって、発言や行動がいかに大切かという点です。石破氏は長年、党内野党として世論受けする発言や、後ろから鉄砲を撃つような発言を繰り返してきました。先の衆院選では「政治とカネ」で非公認となった候補が代表を務める政党支部に2000万円を配り、一年生議員に商品券をばらまくなどクリーンなイメージとかけ離れた行動が批判されました。総選挙の時期を巡っても前言を翻して野党の批判を浴びました。それが総理・総裁という責任ある立場に就くと、これまでの言動がブーメランのように自分への批判につながってしまいました。選挙敗北の責任を取って安倍晋三首相に退陣を迫った姿が、今回は自分への退陣圧力となり、命取りとなったわけです。政治家にとって、いかに発言や行動がぶれないことが大事か、再認識してほしいと思います。
■上智大学の音好宏氏の「放送時評」は、参院選から石破自民党総裁の辞意表明に至る政治状況をメディアがどのように伝えてきたかに焦点を当てて振り返っています。その重要な役割を演じたのが元政治部記者や政治評論家といった政治ウオッチャーでしたが、音氏は「有権者にとって有用な情報、政治状況を考えるに当たって価値ある情報がどこまで伝えられているか疑わざるを得ない」と指摘しています。政治報道の在り方に一石を投じる論考です。
■今月号から共同通信社友の鳥居英晴氏の連載「プレス・ユニオン」を掲載します。プレス・ユニオンは1931年9月18日に中国の奉天近郊で柳条湖事件が勃発したのを受けて、日本側の「時局委員会」が、中国側の対外宣伝に対抗するために設置した機関です。当時の詳しい政治状況や設置に至る経緯を詳しく解説しています。ぜひ一読ください。 (一ノ瀬英喜)